こちらは観劇好きであるほわいとが、ただつれづれと感想を述べていくコーナーです(笑)
「ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~」
2012年に日本初演。今回で再々演。
演出にジョン・ケアード、音楽にポール・ゴードンのコンビ。
出演は井上芳雄、坂本真綾の2人のみで、
ジャーヴィス役の井上芳雄さんは、2013年度の芸術選奨新人賞・読売演劇大賞の優秀男優賞を受賞。
ジルーシャ役の坂本真綾さんは、2012年度の菊田一夫演劇賞に選ばれています。
公式サイトはこちら。
http://www.tohostage.com/ashinaga/index.html
ほわいとレビュー ★★★★★
(以下、ややネタバレ有り。と言っても感想が細かめで恐らく見た人しか伝わらないかなとも思います。)
初演、再演に続きようやく観れました。
一般前売では即完売し、おけぴネットにお世話になりましたm(__)m
この作品は、私の中のミュージカルベスト5にノミネートする圧倒的に素晴らしい作品です。
私の人生観にまで影響を与えたミュージカル「ジェーン・エア」も、ジョン・ケアードとポール・ゴードンのコンビなので、私はどうもこの人たちの感性に痺れるらしいです。
前公演との変化も幾つか見られました。
ざっと分かった部分だけメモします。
・バンドがピアノ、ギター、チェロのみに縮小
・CDとは少しずつ語尾や言葉が異なり、聞きやすいように変更
・「ロックウィロー」は歌なしで、メロディーをバックに会話が続く形式
・「卒業式」は。タイトルそのままに曲を一新
→優しいバラードへ。前の曲も好きだけど、ものすごく良くなったと思います。
「ここにいる」というリプライズ切ない…というか白状しろジャーヴィス…
・「ショーウィンドウの女の子」が新曲「マイ・マンハッタン」に。その後もちょくちょくリプライズ。
→この作品の中では、すごくショーアップされた曲になってました(笑)
・「やな奴」にて、ジルーシャの反応の言葉をほとんど無くしている。
→これすごく共感しました。怒りを通り越して驚き呆れるというか、疑問に思うだろうし、そうそう言葉は出てこないと思っていたんです。
舞台は一杯飾りで、窓を開けると、窓からではなく本棚の隙間から外の景色が見えるという、演劇的演出があまりに美しくて涙。
トランクを動かしたり重ねたりすることで、丘になったり机になったりベッドになったり、視覚的な人の高さも変えられる工夫です。
今まで私が観てきたジョン・ケアード作品って割と、シンプルな舞台に箱のようなものが幾つかある感じが多いので、
あ、またいつもの感じだ!と思いつつ、やっぱり面白いしきれいです。
終演したあとに舞台を近くまで見に行くと、壁に貼られている手紙は、基本的にリアルに書かれていたけど、時々ただの落書き(足長蜘蛛とか)があってかわいいです(笑)
いやーしかし、同じメンバーなのによくここまでグレードアップできるよなーとただただ感嘆です。
ジルーシャの真綾さんはさらにスーパー聞き取りやすくなってるし、
ジャーヴィスの芳雄さんは感情表現が猛烈に細やかになってる。
チャリティー、感情が堪えきれない感じが段違いに上手く、真実味を持って伝わります。
前公演までは正直、ダディであることを隠したままプロポーズするジャーヴィスがよく分からなかったのですが、
ジルーシャが「心を引き裂いた」あとも、小説家として稼いだお金をダディに送るまでに自立し、孤児院の理事になればダディに会うことができるという決意を持つほどに前向きで強い精神力を持っている、
そんなジルーシャと対等になるためには、ジルーシャを愛するためには、今から自分がダディだと名乗るのは自分のエゴであって、彼女と同じようにジャーヴィス自身もダディを抱え続けることで、対等に愛することができるとでも思ったのかなぁ、なんて思ったりしました。
もちろん、結果的には違っていたわけですが(笑)
・施すことから生まれる感謝という壁によって対等になれない。深い。
・全ての人間にとって大切なのは、想像力。深い。
・本当に人格が試されるのは、大きな困難に出会ったときではなく、日々のちょっとした困難を乗り越える強い精神力である。深い。
あぁ、ジルーシャになりたい。溌剌で知性があって独創性と愛嬌のある生き物(笑)
でもこれだけ感情の起伏があると、見ている分にはかわいいけど、本人はすごく苦しくて大変なものよね。
しかし、この作品を嫌いな人っているのかなぁ?
ミュージカル初めての人や、抵抗感のある人にもぜひ、見てもらいたいと思える作品です。
DVDを買わないわけにはいきませんでした…(笑)
福岡、兵庫、愛知、とツアーもあるようなので、みなさま、ぜひ^^
「あしながおじさん」の原作本はこちらです。