「赤道の下のマクベス」3/6-3/25 新国立劇場小劇場

赤道の下のマクベス




私は前から新国立劇場の演劇が割と好きなのですが、近年たびたび登場している鄭義信(チョンウィシン)さんの作・演出です。作品内容がいつもかなり骨太な印象があるのですが、今回はどうなるのでしょうか。楽しみに観劇できました。

一言でいうと、、やっぱり骨太!というか号泣でした。

「赤道の下のマクベス」公演情報

「赤道の下のマクベス」作品紹介(新国立劇場公式HPより引用)

鄭義信が新国立劇場に書き下ろした、1950~1970年代にかけて戦後の影の日本史を描いた三部作『たとえば野に咲く花のように』『パーマ屋スミレ』『焼肉ドラゴン』に遡る第四弾。
1947年、シンガポール、チャンギ刑務所で、第二次世界大戦のBC級戦犯として収容されていた日本人と元日本人だった朝鮮人の物語です。捕虜への暴力や住民の殺害などの残虐行為の命令者・実行者がBC級戦犯の対象となり、そこには日本人だけではなく、朝鮮や台湾の捕虜監視員もいたのです。
本作は、2010年、韓国ソウルの明洞芸術劇場で、鄭義信書き下ろし、ソン・ジンチェク演出で韓国語にて初演され、北京公演も行いました。今回は新国立劇場上演のために大幅に改訂、日本初演でお届けします。いつも庶民の側から温かくも鋭いまなざしで大きな世界を描く熱い鄭義信ワールド。
戦争とは、国家とは……鄭義信が新たに描く「記録する演劇」にどうぞご期待ください。

「赤道の下のマクベス」あらすじ

1947年夏、シンガポール、チャンギ刑務所。
死刑囚が収容される監獄・Pホールは、演劇にあこがれ、ぼろぼろになるまでシェイクスピアの『マクベス』を読んでいた朴南星(パク・ナムソン)、戦犯となった自分の身を嘆いてはめそめそ泣く李文平(イ・ムンピョン)、一度無罪で釈放されたにも関わらず、再び捕まり二度目の死刑判決を受けるはめになった金春吉(キム・チュンギル)など朝鮮人の元捕虜監視員と、元日本軍人の山形や黒田、小西など、複雑なメンバーで構成されていた。
BC級戦犯である彼らは、わずかばかりの食料に腹をすかし、時には看守からのリンチを受け、肉体的にも精神的にも熾烈極まる日々を送っていた。
ただただ死刑執行を待つ日々……そして、ついにその日が訪れた時……。


ほわいとレビュー ★★★★☆
(以下、ややネタバレ有り。と言っても感想が細かめで恐らく見た人しか伝わらないかなとも思います。)

「赤道の下のマクベス」感想(ネタバレ含む)

客席を見渡すと、老若男女いる感じがなんだか嬉しく思いました。
(ミュージカルとかだと8割女性だったり、どうしてもジャンルや出演者によって客層が変わってしまうので。)

舞台は赤道下らしい赤茶色の土模様と、青空監獄の様子です。死刑囚6名分の扉が、右手側と左手側3枚ずつあって、度々出入りがあります。右手奥には絞首刑用の首つり場が存在感を示しています。

幕開き、看守たちの英語のやりとりと、死刑囚たちの沈黙の無力感。この沈黙の時間が長く続いた後に、突如死刑囚たちのセリフが快活に始まる感じが、私は正直よくわからなくて、「んー、大丈夫かなぁ・・」と思いながら始まりました。

ですが、第二幕でものすごい泣きました。号泣。池内博之さん演じるナムソンの処刑からラストまでほぼずっと。
何より、主演の池内博之さんの存在感と演技の上手さが半端なかったです。

ナムソンの気丈に明るくふるまい続ける強さは、胸を打つものはありましたが、あの状況下であれほど強く生きられるものなのでしょうか・・・と疑問を感じてしまったのも事実です。

ただ、6名の人種の異なる死刑囚たちが互いを理解しながら、生き地獄の中で悟りも受け入れていく切なさ</b>は作品を通してありました。ビクトール・フランクルの「夜と霧」を思い出しもしました。でも正直、現実はもっと厳しかったんじゃないかとも思いました。

命令されて嫌々ながらも、生き延びるために仕方なく行ってきたことのために、不条理な裁判でBC級戦犯とされた、日本人や朝鮮人や台湾人の話。

恥ずかしい話ですが、私はBC級戦犯の中にこのような形で処刑された人たちがいたことを知りませんでした。

チラシのあらすじを読んだだけでも、無念さが伝わってくるようですが、舞台で観ることでより感情が伝わってくるようでした。確かに、「記録する演劇」でありました。

韓国で初演してから、今回の日本初演。日本での上演にあたって、結末などを大きく改訂したらしいです。作品の状況的に、日本人が責められるパターンも大いにあり得たはずですが、実際に観てみると人種を超えて理解しあうというような感じでした。

実のところ、韓国初演ではどうだったんだろう?と勘ぐってしまう私もいつつ、日本人向けな設定でほっとしていた自分もいつつ。演劇と歴史が絡むと難しいのですね・・・

作品に戻りますが、平田満さん演じる黒田のラスト。
「今日のビスケットが何枚かが問題や。そやろ。」からの、
「お前は生きてるんや。そやろ。」

というセリフは、この作品全体の全てを集約しているような気がして、身震いしました。

戯曲と役者の力をビシビシと感じる舞台でした。

劇場情報

■劇場名
新国立劇場
■住所
〒151-0071 東京都渋谷区本町1丁目1番1号

京王新線(都営新宿線乗入)「初台駅」中央口(新国立劇場口)直結。
※東口(東京オペラシティ口)ではない。
※京王線は止まらない。

■電話番号
03-5351-3011(代表)

■公式サイト
新国立劇場












赤道の下のマクベス

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