「うつろのまこと」6/3-6/10新橋 博品館劇場

「うつろのまこと」6/3-6/10新橋 博品館劇場




こんにちは、ほわいと(@t_e_white)です。

久しぶりに、良い意味で裏切られる舞台作品に出会うことができました。

千穐楽に観に行ってしまったのが惜しかったくらいです。他の人に勧められない…!

きっといつか再演してくれることを祈って、観劇レポートです。

「うつろのまこと」2018年公演情報

「うつろのまこと」作品紹介(公演特設ページより引用)

浄瑠璃作者・近松門左衛門と竹本座の太夫・竹本義太夫(後継・政太夫)の2人の関係性から、近松が義太夫のために初めて作った「出世景清」、世話物として確立させた「曽根崎心中」、そして心中物の代表作「心中天網島」を新たにアレンジして紡ぎ出す今作。

浄瑠璃作家 近松門左衛門(伊藤裕一)のもとに、
竹本座座頭 竹本義太夫(今 拓哉)の使者(小多田直樹)が丁稚二人と共にやってくる。
竹本座のために、近松に本を書いてほしいと頼むのであった───。

ほわいとレビュー ★★★★★
(以下、ややネタバレ有り。と言っても感想が細かめで恐らく見た人しか伝わらないかなとも思います。)

「うつろのまこと」感想(ネタバレ含む)

まず始めに一言申し上げると・・

良い意味で裏切られました!!

友人に誘われて行ったので、正直なところ期待値があまりないところからの良作に出会えた嬉しさが、本当に久しぶりで嬉しいです。

脚本と公演コンセプトと言えば良いのでしょうか。このあたりが特に素晴らしかったので、静かに熱く、感想を書いていきます。

江戸で歌舞伎や浄瑠璃(=ストーリー中心の語り物音楽)の脚本を多く世に残した、「日本のシェイクスピア」とも呼ばれる近松門左衛門。

人形浄瑠璃(=今でいうところの文楽)を大きく発展させた一座「竹本座」の創立者である竹本義太夫。

この二人の人間模様と、二人の作品がどのようにして生まれたかを取り上げた舞台でした。

このように日本古典をモチーフにすると、お客さんの層がどうしてもお堅い人(娯楽のためでなく教養として観ているような、上流階級の人=注:勝手なイメージです)が集まる印象でした。

が、今回は客層やロビーの雰囲気が違います。

ロビーではたくさんのプロマイドや、イケメン俳優たちの写真。
観劇時にはオペラグラスを持って観劇している女性たち。

・・・これは、教養目的でもストーリーを楽しむ目的でもない、完全に俳優目的の客層だ・・・!!

開場時に流れている三味線などの音楽とも相まって、作品の内容と客層がズレている気がして、内心穏やかでない気持ちのまま幕は開きました。

しかしこれが、本当によく古典ならではの演出や神髄を面白くまとめられている作品だったのです。

舞台上には音楽演奏用のスペースとして、キーボードと見台(けんだい)が置いてあります。

見台の前に座って、竹本義太夫役の今拓哉さんがミュージカル張りに歌い語るところは、文楽で竹本が床に乗って語るということとまさに同じことをしているのです。

現代の文楽の竹本の語りを聞くと、独特の節回しと三味線のみで奏でられるので、「古典っぽい」雰囲気が拭えないのですが、江戸当時は浄瑠璃が最先端のポップな音楽だったはずなんです。

劇中の男性登場人物のほとんどを、イケメン系の俳優さんが演じていました。

これも、江戸当時の歌舞伎俳優は大変な人気があって、歌って踊って演技もする歌舞伎俳優は、今のジャニーズみたいな存在だったはずなんです。

古典の題材を扱いながら、江戸当時の歌舞伎や浄瑠璃をカジュアルに楽しんでいたような雰囲気をここまで両立できていたのが、本当に新鮮で嬉しいことだったんです。

演出面でも、例えば「曽根崎心中」。
お初が恋仲の徳兵衛を自分の打ち掛けで隠し匿いながら、悪者の九平次と会話するところ。
実際の文楽でも、同じ演出が行われています。

また、竹本義太夫役が狂言回しとなって、作品のストーリーを早回しで説明しながら、登場人物が演技の動きだけを行う部分があります。

このときの動きも人形を連想させる動きになっていて(人形というよりロボットっぽい動きの人もいましたが・・・)、明らかに人形浄瑠璃を尊重する気持ちが現れています。

また、モチーフにされた作品も、時代物1つ「出世景清」と世話物2つ「曽根崎心中」「心中天網島」を取り上げています。

男女の恋愛模様や女性の自立した感情など、現代の女性にも受け入れやすいようなポイントと作品をうまく選んで取り入れているように思いました。

歌舞伎や文楽を純粋に好きな人から観るともしかしたら、「なに古典の演出を中途半端にパクっているんだ・・?」と感じてしまう人もいるのかもしれませんが、日本伝統芸能の要素(特に人形浄瑠璃の)を、日本伝統芸能を観たことがないであろう人に面白く届けられていたことに、私は本当に大きな価値を感じました。

ほわいと
そもそも著作権は切れているのだし、真似ても良いではありませんか!

この作品を受け入れることのできる日本伝統芸能出身の人が増えたら嬉しいな・・と思ったりもしました。

これだけ素晴らしい面がたくさんあった反面、惜しいなと感じてしまった点もいくつかありました。

開場中の音楽が明らかに、歌舞伎の長唄細棹三味線なので、せっかく浄瑠璃をモチーフにしている作品なのであれば、せめて太棹三味線を扱ってほしかったなと。太棹三味線の音を聞いたことないお客さんも多いでしょうし。

衣裳は、和と洋の混合を目指したのかなと思いましたが、なんとなく寄せ集めた感が・・・このあたりはやっぱり劇団☆新感線が強いのでしょうか。

俳優も、レベルの差が激しいといいますか、寄せ集めた感を感じずにはいられませんでした。

ただ、ミュージカル好きの私としては、竹本義太夫役の今拓哉さんの歌声をあれだけ近くでたっぷり聴けるのは至福の時間でした・・・
というか本当にうまいし良い声。

総評としては、世間に評価されるか微妙だけれども、私個人としては大絶賛の舞台作品でした。
こういう作品を応援したい。

また、色んな方向に心を揺さぶられたりするのも、舞台の醍醐味であります。面白かったなぁ。

劇場情報

■劇場名
博品館劇場
■住所
〒104-8132
東京都中央区銀座8-8-11
○銀座駅から
東京メトロ 銀座線・丸の内線・日比谷線
⇒『銀座駅』A2出口より徒歩5分
○新橋駅から
JR『新橋駅』⇒銀座口より徒歩3分
東京メトロ 銀座線『新橋駅』⇒出口1より徒歩3分
■電話番号
03-3571-1003(代)
■公式サイト
博品館劇場












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