こんにちは、ほわいと(@t_e_white)です。
楽しみにしておりました富山県利賀村で行われる演劇祭、SCOTサマーシーズン2018に初参加してきました!
正直、期待していたよりも本当に有意義で実りある時間だったので、数記事に分けてレポートしていきますね!
目次
時系列でレポートしていきます
SCOTサマーシーズン2018についてや、私の今回のスケジュールについては、関連記事にまとめましたので、よろしければご一読ください!
仕事終わりで東京→富山へ北陸新幹線で直行!
ホテルグランテラス富山で前乗り宿泊しました。


朝ごはんも、ホタルイカなど富山ならではの料理が楽しめましたよ!


富山駅から連絡バス(要事前予約)に乗ること約90分。
つきましたー!!


空が!!広い!!
数えきれないほどいるトンボが出迎えてくれました。
会場着いて受け付けから各演目の整理番号を受け取ると、早速シンポジウムの時間となりました。
シンポジウム1
シンポジウムはどちらもかなり難しい内容を語られていて、私は内容にあまりついていけませんでした。。
なので、ここでは印象に残った言葉やハナシ、そこから私の中で得た感想を綴ります。
シンポジウムに参加した方から見たらかなり誤訳があるかもしれませんが、ご容赦くださいませ。。
メンバーはこの3名。
講師:河野有理(日本政治思想史)、井田太郎(日本近世文学・美術史)
司会:苅部直(日本政治思想史)
+ 演劇は、みえないものを発見するものである。から考えられることとは。
+ 当時、心中をすると女は遊郭へ、男は処刑をされた時代。
そんな時代に心中作品を多く上演していた竹本座の近くには、処刑場があった。リアルと表裏一体である。
+ 都市にはノイズが溢れている。演劇を観るまでと観た後にも余韻を作ること。
+ 宗教や神に対して、あるいはギリシャ悲劇のテーマに対して、肯定か否定かの判断が演出家に任されている。
+ ギリシャ悲劇は、簡素化と読みかえとの相性が合う。それは、パターン認識を演劇を通して行っていたから。だから演劇と政治がくっついていたのかもしれない。
トークセッションの中で上がったおススメ本がこちら↓ 読んでみようっと!
シンポジウムの後は、グルメ館にてお昼ごはんの時間!
連絡バスも出ていますが、10分もしないくらいで歩けるので、歩いてグルメ館へ向かいました。


たくさんのお店が並んでいましたが、まずはカレーから!


これ、イノシシとクマの肉が使われているんです!ジビエ!


続いて、違うメンバーでのシンポジウムへ。
シンポジウム2
メンバーはこの3名。
講師:西垣通(情報学・メディア論)、武田将明(英文学・文芸批評)
司会:大澤真幸(理論社会学)
+ 人工知能やコンピューターが「神」のように扱われてしまうことの恐ろしさ。
+ 神に守ってもらうはずが、いつの間にか神を第一にしてしまう。
+ コンピューターが統計認識できるようになった=パターン認識。
だから絶対はなくて間違えることもあるけど、人間はコンピューターは間違えないというような思いこみがある。これが危険。
+ ギリシャ悲劇を上演するということは、古典の再構築ともいえる。
+ 演劇とは本来は「お祭り」であって、みんなが参加する甲子園の決勝戦のようなものだったはずなんだ。
+ 人間関係のパターンや神を理解する上で、戯曲を読むだけでは無理がある。だから演劇で実際にやってみる。なぜなら、ポセイドンの気持ちに則するのは、無理がある。神の気持ちなんて人間が実際に分かるわけがない。
+ 祀られる側より、祀る側が上になることに繋がっている。
シンポジウム後は、そのまま利賀大山房へ移動し、ディオニュソス観劇です。
ディオニュソス


初めてのSCOT。初めての鈴木忠志演出。
これは、後に観る全部の作品に共通して思ったことですが、作品の本質だけをえぐりとっているイメージでした。
余計な演出が全くありません。
舞台装置はなし。小道具も本当に一部だけ。
照明は色がなく、サイドから当てて俳優の身体をよく表すのをベースに、明るさの強弱を加えるのみ。
俳優の身体と、言葉と、非常にテンションの高い張り詰めた空間によって魅せます。
例えば、腕を上に突き上げたときに、埃が上に舞い上がる空気の流れが見える程でした。
俳優は独特なゆっくりとした動きや型に沿って動きます。
その中で生まれる全てのシーンや身体・所作が美しく、様式美を感じずにはいられませんでした。
お能などの日本伝統芸能の影響をかなり受けているのもわかりました。
独自性がとても高く、海外の人にもウケるのが分かります。
また俳優が、日本人だけでなく多様な国々の人が入り混じっています。
セリフも、俳優のそれぞれの母国語で語られます。(字幕はありました)
シンポジウムでも語られていましたが、母国語で話すのが最も感覚的に正しくセリフを語ることができるという俳優からの意見を鈴木忠志さんが採用したことから生まれた様式だそうです。
ただ、クオリティが高いのは分かりますが、好みは人によってはっきり分かれるものだと思います。
それでも、劇団SCOTが40年もの間、利賀で継続できて世間に受け入れられ続けたことが本当にすごいことだと思いました。
観劇後は、再びグルメ館に行き、夜ご飯!
いよいよ、野外劇場へ突入です!
他の演目がおおよそ200~300人のお客さんがいたことに比べて、700人ほどいる様子!目玉演目であることが伝わります。
このころから、整理番号で前後に並んでいる人と会話できるようになりました。


この時に、文学が好きな防衛大学校の青年と出会いました。
そんな彼が翌日、人生を変えるようなきっかけを掴み、会場にいた全員に勇気を与えることになるとは・・・
乞うご期待!
世界の果てからこんにちは


初め気づかなかったのですが、鈴木忠志さんに場内案内されました・・・!
階段に座るほどの超満員です。
一言でいうと、この作品を観るために利賀村に来ても良いと言い切れます。
控えめに言って、こんな素晴らしい作品、次にいつ出会えるんでしょう。
目玉となっている花火が、視界に収まらないほどものすごいのですが、そこだけに注目するわけにはいきません。
日本の文化や昭和・戦争などを、歌謡曲を使ったりポップに描かれていましたが、実はものすごく深くて重いテーマが潜んでいます。
「日本が、お亡くなりになりました。」
・・・これほどまでに深く重い言葉には、そうそうお目にかかれません。
日本人でない俳優が、日本語で日本の戦争にまつわることを語るのはどうなのか?と少し考えたのですが、翌日の鈴木忠志さんトーク中より、俳優が誠実に日本語を台詞として使うことができているかが問題であるという示唆があったので、納得。
また、野外劇場なので途中で雨が降ってきましたが、俳優から目を離さずにはいられませんでした。
背景にそびえたつ森林に照明が当たります。
こんなに贅沢な時間と空間は考えられません。
野外劇場ならではの演出ももちろんですが、日本文化を示唆する戯曲と俳優の身体と全てが重なり合って生まれる世界は、唯一無二のものでした。
観た後は、宿泊ホテルへ送迎バスで向かいます。今回は、茂兵衛さんにお世話になりました。
畳の和室に布団、そして温泉!さらに囲炉裏!!


早々に眠りにつきました。
2日目は、次回の記事にてレポートしていきます!